
王子様のアウトライン
年齢 | 49歳 |
家族構成 | 一人暮らし |
症状・病気 | 統合失調症 |
保険 | 医療保険 |
訪問看護 | 週2回 |
アラフォーの乙女が、精神疾患の男性宅へ

Xmasソングがあちこちで聴こえてくる季節。
X’masシーズンになると思い出す、素敵な利用者さんがいます。
スタイル訪問看護ステーションでは有名な、オーロラの王子(笑)です。
彼は40歳台。統合失調症。薬の自己管理が難しく、調子を崩して入退院を繰り返していたので、服薬管理の依頼で訪問開始となりました。
スタイル訪問看護ステーションに来て、本格的に精神科の方と関わることになった私。初めはただ訪問するだけ、ただ薬を確認するだけ、ただ話を聞くだけ。
その中に、どこか精神疾患というだけで何となく漠然とした怖さがありながらの訪問。アラフォーの乙女(笑)が、精神疾患の男性一人暮らしのワンルームの煙草の臭いいっぱいの部屋に二人っきりになる。それだけで、最初は躊躇しました。
言葉のキャッチボールが増えていく
だけど、訪問を重ねるたび、支離滅裂な会話を重ねる中で、時折見せてくれるクレバーな彼の会話や世界観、お母さんに対する愛情の深さに、怖さよりも人としての関心がどんどん大きくなっていきました。
病気を見ていた私が、一人の人に関心をもって関わらせてもらえたことで、私の中の精神疾患への勝手な偏見を彼が消し去ってくれたのです。

- 大好きなお母さん
- 尊敬するお父さん
- 大切な弟
- 家族の話
- 命を断とうとした話
- 恋の話
- 病気の話
- そして世の中に役に立つために学びたい、働きたいという想い。
初めは支離滅裂な話を聞くばかりでしたが、本人に今できていること、これまでの頑張り、私の想い、お互いの言葉のやりとりをしていくうちに会話が成立するようになります。時折、おどけた話やジョーダンもでてくるようになり、笑顔もたくさん増えていきました。
心を許してくれてると感じられる言葉のキャッチボールが、どんどんできるようになっていきました。そのうちに、私一人の担当から、他のスタッフも訪問できるようになり、皆で関われるようになっていきました。
それぞれのスタッフの良さと彼の魅力がいい感じにコラボしていくようになり、訪問する側も楽しみながら関われるようになっていきました。
自立するため仕事を見つけた矢先
彼の遺した言葉たちです。

洗練し合うことは大事やけど、争い会うのはあかん。全世界に発信しといてや

記憶の奥底にめぐりくるものとは何かな。静寂の彼方に行きたいな

何のために生まれて何のために死んで行くんだろう

人間は一つのことを成し遂げなあかん

道導みちしるべになるしかない

人は生ある限り生きなあかん
そして。
訪問開始時にはドイツ語を学ぶとか、大学を受験するとか言うていた彼が、まずは自立したい!お母さんと住みたい!という想いから、仕事をやりたい!と考え、自分でハローワークやいろんな所に足を運び、清掃の仕事を見つけてきたのです♫
その矢先・・・
自宅で倒れてそのまま命が終わりを迎えてしまいました。外傷もなく、自ら命を断ったのではなかったようで、多臓器不全で死因が特定できず、解剖にまわされた最期でした。
人生初のX’masパーティー
その数ヶ月前のX’mas。
少し早めの土曜日に、彼の家でXmasパーティーをしました。チキンにケーキ、ドーナツ♪
コーヒーは俺が用意する!と二週間も前からデカいインスタントコーヒーを瓶で2本も用意してくれて、パーティー当日にはもう、一本半飲み終えていました(笑)。
普段は白米にふりかけ。キッチンに立ったままでご飯の彼が、コタツにちゃんと座って、一緒にテーブルを囲む。なんかあたたかい家族団欒(笑)の時間でした。その時の写真は、私のお気に入りのツーショットです♪(^^)o∀*∀o(^^)♪
照れながらも微笑んでくれた彼は、病気のおっちゃんではなく、一人のあったかい私の大切な生きる仲間でした。
俺は、オーロラやねん
私は彼の人柄に、訪問看護の在り方を教えてもらいました。
単なる情報収集しにくる人、単なる薬の管理にくる人にはなりたくないと思わせてくれました。一人の人として、幸せに生きることを何かサポートしたい。彼がそう思わせてくれたからこそ、私の勝手な想像の中の精神科への怖さや偏見を、彼が取り除いてくれました。そのおかげで、人として関わる訪問看護を考える!実践するきっかけをギフトとして与えてえてもらえました。
彼は、

俺は、実はオリンピックの五輪の赤やねん♫

俺は、オーロラやねん♫
と言っていました。
彼の世界ではあらゆる壮大なものたちと一体化していました。今となれば、なんだかほんとに五輪の赤の中に(笑)オーロラの映像に(笑)彼がいるような気すらしてきます(笑)。
スタイル訪問看護ステーションの中では、X’masが近づくとオーロラの王子として、恒例行事のように話題にのぼります。
今ある生きる幸せを味わうために

道導みちしるべになるしかない
彼の想いと共に、私なりにできることを発信して。

洗練し合うことは大事やけど、争い会うのはあかん。全世界に発信しといてや
争ったり奪い合ったりすることなく、互いの育ちあいを大切にしながら愛と調和で共存する道を探る。

人は生ある限り生きなあかん
命あるかぎり彼の言葉を胸に。思いっきり喜怒哀楽を味わって生きていきます!

今日もスタイル訪問看護ステーションは、オーロラのように輝きながらずーっと連なり繋がっていくたくさんの思い出たちといっしょに♫
目の前の大切な人たちと、今ある生きる幸せを味わうために、皆さんのもとに向かいます!